お酒の解説 ヤブタ式搾り 2023/09/08
日本酒にまつわる用語をとりあげてご紹介していきます。日本酒に興味のある方、資格取得などに向けて勉強されている方の知識習得にもお役立ていただけるよう、できるだけ専門用語をつかわずカンタンな内容で解説していきたいと思います。みなさんも一緒に学んでいきましょう!
ヤブタ式搾りとは?
ヤブタ式搾りとは、搾り(もろみとお酒を分離すること)の手法のひとつで、自動圧搾機を使って搾る方法です。
1963年に薮田産業が開発した「薮田式自動醪搾機」を使用するため、ヤブタ式と言われます。
この方法は、醤油を絞るときにも使われる手法だそうです。
搾り方と特徴
まず、自動圧搾機に並べられた板と布を合わせた袋状の部分にもろみを注入します。
それから、両側から横方向に圧力を加えることで、お酒を搾り出すのです。
搾られたお酒はホースを通じてタンクに送られ、酒粕だけが板に付着して残る仕組みです。
ヤブタ式搾りでは、以下のようなメリットがあります。
- 強い圧力をかけてしっかりと搾ることができるため、多くの量のお酒を取れる
- 絞りにかかる時間が短いため、お酒が空気に触れて劣化するのを防ぐことができる
- 機械により作業を自動化できるため、造り手の負担を軽減することができる
そのため、現在では全国の8割の酒蔵が使用している、最も主流の手法です。
一方で圧力が強すぎると、お酒に雑味成分まで混じってしまうとも言われており、お酒の種類によって搾り方を分けている酒蔵さんも多くあります。
ヤブタ式によって自動化・省力化が進んだとはいっても、やはり前準備や洗浄などの後処理を含めて、作業がゼロになるわけではありません。
一枚ずつ重い板を洗い、濾布をかぶせ、機械にはめこみ、ホースを繋ぎ、、、、。
板状に残った酒粕をヘラで取り除くだけでも数時間かかります。
もろみからお酒を搾り出した後に残ったものが、酒粕です。
機械に吊り下げられた板と板の間に、板状で残るため「板粕」と呼ばれます。
ヤブタ式で絞った酒粕は、強い圧力をかけて絞られるため、酒粕に含まれる酒の成分は少なく、硬めのテクスチャーとなります。
まとめ・復習
- ヤブタ式搾りとは、自動圧搾機を使った搾りの手法
- 短時間で効率的・省力的に搾りを行うことができる、最もポピュラーな手法
- 搾られて残った粕は板粕という硬めの酒粕となる
搾りの工程やその他の手法について知りたい方は、ぜひこちらもご参考にしてくださいね。