お酒の解説 ひやおろし 2023/10/28
日本酒にまつわる用語をとりあげてご紹介していきます。日本酒に興味のある方、資格取得などに向けて勉強されている方の知識習得にもお役立ていただけるよう、できるだけ専門用語をつかわずカンタンな内容で解説していきたいと思います。みなさんも一緒に学んでいきましょう!
ひやおろし とは?
ひやおろし(冷やおろし)とは、秋に出荷される生詰め酒のこと。
冬に仕込み、1度火入れをしてから夏の間貯蔵・熟成し、秋に2度目の火入れをせずに生詰めして出荷されるお酒で、9月〜11月頃に販売されます。
秋になり、貯蔵庫の中と外の温度が同じくらいになる頃、出荷前の火入れをせずに「冷や(ひや)」の状態でタンクから「卸す(おろす)」ことから、「ひやおろし」と呼ばれるようになったと言われています。
ひやおろしは、春酒や夏酒と異なり、火入れにも特徴があるので、覚えておきましょう。
※参考
似ている用語「秋あがり」とは?
ひやおろしと同じく、秋になると「秋あがり」という言葉を聞いたり目にすることがあります。
秋あがりは、ひやおろしと同じ意味で使われることもありますが、厳密には少し意味が違います。
本来の「秋あがり」とは、ひと夏貯蔵することで、秋になってちょうどよい具合に熟成され、旨味が増し美味しくなることを言います。
反対に、うまく熟成されずに美味しさが損なわれてしまうことを「秋落ち」というそうです。
つまり、ひやおろしが、ひと夏熟成させた生詰め酒という「日本酒のなかのひとつのタイプ」を指すのに対し、秋あがりは日本酒の「醸造の具合」を表す用語なのです。
ひやおろしの特徴
ひやおろしは、まろやかな旨味のある濃醇な味わいが特徴です。
ひと夏熟成されることで、味がなじみ、カドがとれ丸みを帯び、コクや深みが増します。
また出荷前の火入れを行わないため、生のフレッシュさも味わうことができます。
穏やかな香りと甘味・酸味・旨味などの味わいのバランスのよいお酒で、秋刀魚・椎茸・松茸・鮭・いくらなどといった秋の味覚と相性バツグンです。
デザインも、黄色やオレンジ・赤など、紅葉をイメージしたカラーやもみじをあしらったものなど、秋を感じさせるものが多いです。
まとめ・復習
- ひやおろしとは、ひと夏熟成し秋に出荷される生詰め酒のこと
- 秋あがりと呼ばれることもある
- 熟成による円熟したまろやかな旨味と生のフレッシュさも残るバランスのよい味わい