お酒の解説 日本酒の製造工程を学ぼう – ②洗米・浸漬 2023/06/21
本シリーズでは、日本酒の製造工程ひとつひとつに焦点を当ててご紹介をしていきます。
お酒造りの第一工程である「精米」が完了したら、次は米を洗う「洗米」と米に水を吸わせる「浸漬」の工程へ移ります。本記事では「洗米・浸漬」について詳しく解説します。
洗米・浸漬とは?
洗米(せんまい)
洗米(せんまい)とは、文字通り、お米を洗う作業です。精米されたお米の表面には、糠などが付着しています。これらは雑味の原因となるため、この工程でしっかりと洗い落とします。
みなさんが普段自宅でご飯を炊く際は、手で「米を研ぐ」と思いますが、日本酒造りでは大量の米が必要なため、洗米は通常「洗米機」という機械で行います。
浸漬(しんせき)
浸漬(しんせき)とは、米を浸水タンクに漬け、吸水させる工程です。
洗米の段階で米の吸水は始まりますが、それだけでは十分な水分を吸収できないため、浸漬の工程で静かな水につけ、米の水分量を調整します。
この際、場合によっては、米を一度水に漬けた後に水から揚げ、水に濡れた状態の米を放置する「から漬け」を行うこともあります。から漬けをすることによって、水を米に馴染ませるのです。
洗米・浸漬のポイント
洗米・浸漬の工程では、お米に適量の水分を含ませる必要があります。
ここでお米が吸収した水分量が少なすぎると、次の工程で十分に米を蒸すことができなくなります。
一方、水分量が多すぎれば、蒸した際に米がやわらかくなりすぎ、発酵過程で米が溶けすぎてしまうため、吸水具合を見極めることが非常に重要であり、造り手の腕の見せ所となります。
造り手は、米の吸水具合を見ながら、ストップウォッチで時間を測り、吸水時間を厳密に管理します。米の品種やその年の出来具合、精米歩合などの米の状態や、その日の気温や湿度といった外部環境など、さまざまな条件を考慮し、経験をもとに吸水時間を調整します。
まとめ
本記事では、「洗米・浸漬」について詳しくご紹介しました。
その時々の条件に合わせ、数秒単位の時間管理を行う、まさに職人技を必要とする工程であることを実感できたと思います。
次回は「蒸米」についてご紹介いたします。