お酒の解説 新酒 2023/10/25
日本酒にまつわる用語をとりあげてご紹介していきます。日本酒に興味のある方、資格取得などに向けて勉強されている方の知識習得にもお役立ていただけるよう、できるだけ専門用語をつかわずカンタンな内容で解説していきたいと思います。みなさんも一緒に学んでいきましょう!
目次
新酒 とは?
新酒 (しんしゅ)とは、新しく造られたお酒のこと。
ただし、この“新しい”の意味は曖昧で、実はさまざまな意味で使われています。
よく使われる意味を解説していきます。
本来の新酒の意味:酒造年度内に造られ出荷された日本酒
酒造年度内に製造・出荷された日本酒を新酒とするものです。
一般的には、新米を使っているか否かは無関係に、年度内に造り出荷したできたてのお酒を指します。
よく使われる新酒の意味:酒造年度内に収穫された新米で造られ出荷された日本酒
酒造年度内に製造・出荷された日本酒という本来の意味に追加して、さらにその年に収穫された新米を使って造られた日本酒を新酒とするものです。
上述したように、本来は新米を使っているか否かは無関係なのですが、現在ではこちらの意味で使われることが多くなっています。
秋に収穫したお米を使って製造し、11月頃から翌年の3月頃までに出荷されることが多いため、この時期になるとよく新酒が出回ります。
酒造年度とは?
新酒の意味についてさらっと記載しましたが、ここで酒造年度についても解説しておきましょう。
日本酒業界における1年間は、7月1日〜翌6月30日のサイクルで動いています。
この1年間の区切りを酒造年度と言い、酒税法で定められています。
学校や企業などでは4月〜3月末までを1つの年度としているケースが多いですが、日本酒業界では、秋に収穫された米を使って寒い冬の時期に製造が行われることが多いため、通常の年度区切りとはズレたサイクルになっているのです。
酒造年度は英語で「Brewery Year(ブルワリーイヤー)」といい、頭文字をとって「BY」と表記されることもあります。
たとえば、ラベルに「令和4年度製造」と記載されていれば、そのお酒は令和4年7月1日から令和5年6月30日までの間に造られたお酒です。BYを使った表記では「R4BY」や「2022BY」となります。
新酒をしらせる「酒林」
日本酒を置いているお店の店頭などでよく見かける杉でできた玉のことを「酒林(さかばやし)」と言います。
ロゴやモチーフとして目にすることも多いのではないでしょうか。
この杉玉は、杉の葉を束ねて作られた丸い玉で、もともとは、新酒ができあがったことを知らせるサインとして、酒蔵の軒先に吊るされるものです。
青々とした状態の杉玉が茶色く枯れていく様子は、新酒が出来上がってから徐々に熟成していく様子を表しています。
新酒の味わい
できあがったばかりの新酒は、貯蔵期間が短いため、みずみずしく爽やかでフレッシュな味わい。
新酒はアルコールの分子が馴染んでおらず、甘味や酸味、旨味などそれぞれが立った味わいです。
勢いがあり、荒々しいとも表現されますね。
また、新酒香や麹ばなと呼ばれる、新酒特有の華やかな香りがあります。
反対に、熟成された日本酒は、水分子とアルコール分子が結びつき、甘味、酸味、旨味などが調和し、カドがとれたまろやかで穏やかな味わいになります。
まとめ・復習
- 新酒とは、本来、酒造年度内(毎年7月1日~翌年6月30日)に製造・出荷された日本酒のこと
- 現在は新米で造られた日本酒を指すことが多い
- できたての新酒は華やかでフレッシュな味わい